ついに前歯が出てきてしまった。
眠いときも熟睡中も、泣いた後、ヒマなとき、テレビを見るとき、車に乗ったとき。
常に娘の一番近くにいる相棒、心の友。指。
冬はここから全てのカゼ菌を摂取しているのではと疑わしく、夏も大変衛生的ではないし、右の親指には前からタコがあったけど、
ついに前歯が。
効かなかった夫の圧力
笑ったときに前歯が出てるのが愛嬌あって可愛いといえなくもない、が、
夫はどうしてもやめてほしかった。
「3歳になったから」「お指は寝るときだけにしよう」「歯が出てしまう」と毎日こんこんと説いた。
娘は顔色を伺うようになったが指しゃぶりはやめなかった。
むしろ増えたんじゃなかろうか。
私たちは考えた。
しゃぶる前は「イイ?」と聞き、何と答えても絶対にしゃぶり、後で「オカーサン、イイッテイッタ」と虚偽の報告をする。
寝る前は許可されているので「ネムクナッチャッタァ」と虚偽の報告をする。
このままでは悪知恵がつくだけで、保育園など目が届かないところでは絶対にしゃぶる。
今まであんなに相棒くんに頼って負の感情を紛らわし、ヒマをつぶしていたのだ。なにかそれに代わるものが無ければやめられないのではないか。
今まで試してみたこと
考えられることを試してみてはいる。
・手をつなぐ→×
眠る前寂しくないように…とかよく言われるが、しゃぶってない左手でも猛烈に嫌がる。手をつなぐためにしゃぶっている指を抜こうとすると頬をビンタされる。
・絵本を読むなどのスキンシップ→×
集中して遊んでいるときの指しゃぶりは減るが、なぜか絵本と指がセットになってしまっている。寝かしつけのイメージなのか?
・ネイルシール→×
知り合いの子が休みの日にネイルシールを貼ったら、取りたくないから指しゃぶらなくなったと聞いて貼ってみた。
初めはルンルンだったけどそのうち半泣きに。結局自分で親指のシール剥がしてしゃぶってた。
それから親指だけはどうしても貼りたがらない。絆創膏も同様。
・苦いマニキュア→最後の手段
余計ストレスなのでは…?とも思うし、まだ試していない
あとは指しゃぶり界で有名なあの絵本しかない…
「ゆびたこ」との出会い
くせさなえさんの「ゆびたこ」。
ゆびしゃぶりをやめられない女の子の親指にある日突然顔が現れしゃべりだす(!)
実際に読んでみたら「ゆびたこが大きくなったら困るし…」のページが強烈なインパクト。
図書館で借りてきて、初見のときは娘泣くか?トラウマになるか?と思ったほど。
娘は泣かなかったし怖がる様子もなかったけど、神妙な顔をしていた。
その日の夜も、自ら「ゆびたこ」を読んでくれといい、終わると「もう一回」と繰り返した。1日でこんなにリピートするのはめずらしい。
とてもとてもショッキングだったらしい。
彼女は寝る前にも絶対に指をしゃぶらなかった。
眠くて目をこすり、クセで顔の前まで指を持っていくけどしゃべりまくることで気を紛らわし、なかなか眠れない。
その日は昼寝もしていなかったのにどんどん時間が過ぎていく。
絵本と同じように親指に絆創膏貼りたいと言って貼り、30分もしてやっと眠れるかな…と思ったら「ヤッパリ、カワイイノハル」と言ってさっきは嫌がったネイルシールを親指に貼った。
そしてついに最後には指なしで眠れた…!
「ゆびたこ」を読んだその後
あれから2週間、一度も指をしゃぶっていない。
ついでに、どこに行くにも一緒だった安心クッション(通称ピンクのネンネ)もなぜか卒業した。
こんなに本の中の出来事と自分をリンクして考えられていることに驚いた。
主人公の名前が出てこない(わたし、という一人称で語られる)のが自分事としてとらえやすいのかもしれない。
娘も「ユビタコ、キタラコマル」と思ったらしい。
そして、彼女は自分で決めて自分で乗り越えた。
指が無くて眠れないとき、次の日も眠すぎてうなっていたとき、こっちの方がツラかった。「大丈夫、ゆびたこ来ないよ、今だけいいよ」と何度も言いたくなった。
でもしゃぶらなかった。
大人でもお酒とか甘いものとか、やめるの難しいよ。
まだ3年しか生きていないのに、意志力すごい。
大人にできることは、本人が決めたことをハラハラしながら見ていることだけなのかも。
今回は若干脅しのようになってしまったけど、きっぱりやめたことで絵本と同じように娘のゆびたこはどんどん薄くなっている。
そのうち「なんでこんなのしゃぶってたんだろう?」と感じられるかもしれない。
指しゃぶりがいいとも悪いとも、何歳までのものとも思わないけど、本人が「やめたいのにやめられない」と悩んでいるなら一度読んでみてほしい。