先日、荻原浩さんの短編集「幸せになる百通りの方法」を読みました。
本のデータ
「幸せになる百通りの方法」
著者:荻原浩、出版社:文藝春秋、税抜1500円、2012年
私は荻原浩さんの文章が大好きです。特に今回の短編集は自分や隣の人のことが書いてあるかのように身近に感じました!
もう何冊も荻原作品を読んでいますが、どうしてこんなに面白く読みやすいのか考えてみました。
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言葉のリズムがいい!
荻原浩さんの小説は、言葉のリズムがとてもいいです。
韻を踏んだりことわざをもじったりがポンポン出てくるので、実はめちゃ高度な技を使っていると思いますが、決して技を見せつけません。
情景の描写もリズムがいいです。
例えば「食器洗い機がどんぶらどんぶらと波の音をさせているお台所(「幸せになる百通りの方法」p12)」とか、こんな短い文章なのに一瞬で様子が思い浮かびます。
短編は特に、リズムに乗ってさらっと読めちゃいます。
人物描写が上手すぎる
「幸せになる百通りの方法」の中の一話「今日もみんなつながっている。」の登場人物は
- 需要のなさそうな自叙伝を本にするため、自ら出版社に押しかけるおじいちゃん。
- レシピブログに載せる料理レシピを開発、美味しそうなのは写真だけで味は大不評のママ。
- ブログの毎日投稿を続けるため公園をさまよいネタを探す長男、就職浪人中。
うんうん、こういう人いそう…というか私のことか?と思うくらい人物描写が上手いです。
そして、さらっと書いてある一文が的を射ていてグサッときます。
例えば、おじいちゃんの対応に困った出版社の社員の気持ち。「誰かに自分を発信したい、何かを書き残したいというのは、おそらく人間の本能なのだ。(中略)出版界における問題は、書き手ばかりで、読み手が少ないということ(同上、p94)」
ゲームに夢中な娘が自室で夕食を持って行こうとするのを、ムリに止めないママ。「本当は自分も早くパソコンに戻りたいのだ。(同上、p103)」
家の中のネタ続きで暗いと思われるのが嫌で外出する長男。「日々の行動を完全レポート、なんてブログには書いているが、実際にはブログを書くために行動している気がする(同上、p106)」
そういえば荻原浩さんの「砂の王国」にもブログを書いてる青年が出てきたけど、荻原さんもブログ書いてたことあるのかな?と思うほど、描写が的確すぎます。その人の考えや行動パターンになりきってるみたい。
いや、ブログ書いてたから分かるってワケじゃないんだろうな。だって出てくる全ての人の描写が上手すぎるから。
第一話ではおばあちゃんが嫁を評して「最近は、眉毛の描き方で機嫌が分かる。(同上、10p)」。
いるよねー。そういう女の人。荻原さんは男性なのにどうして分かるんだろう!これだけ短い文で人柄が伝わってきます。
登場人物が実際に隣にいる人のようにリアルに感じられます。
スポンサーリンク無理矢理なクライマックスがない
小説の中には無理矢理大事件が起こったり、必ず恋愛につながったりというものもあります。
あまりに派手な事件が続くと、私は「実際には、なかなかそこまでの悲劇も起こらんよ」と冷めてしまいます。
荻原浩さんの作品にはその無理矢理感がありません。
ちゃんとオチるのだけど、小説は終わった先にも登場人物の生活が続いていそうな終わり方です。
だから読んでいてクスッと笑えて、疲れず読めて、また読んじゃうんだよな。
こちらも荻原浩さんの小説です。→オイアウエ漂流記の読書感想
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こんにちは。
自分も『幸せになる百通りの方法』読みましたよ。
とても良かったです。
ほろ苦いけど、どこにでもある日常という印象を受けました。
そのうえ大阪のオカンは最強だと思いましたよ。
こんにちは!コメントありがとうございます!
荻原浩さんの短編はスッキリ読めてとても好きなので、読んだという方がいらっしゃって嬉しいです!
大阪のオカン…笑いました^^
最強ですよね!
おっしゃるとおり、荻原浩さんの短編はスッキリ読めると思いますよ!
ツイッターでのフォローありがとうございます。
こちらもフォローさせていただきました。
またこちらのブログも読ませていただきたいと思います。(笑)
フォローありがとうございます!
面白い本があればまた教えてくださいね!
はい、今後面白い本に出会ったらお知らせしますよ!