あなたにとって、家族とは何ですか?
2019年本屋大賞に輝き、2021年10月29日から映画も公開された瀬尾まいこ著「そして、バトンは渡された」。
とても穏やかで優しいお話で、読んだ後じっくり家族について考えさせられました!
あらすじ
主人公の優子は今までに父親が三人、母親が二人いて(!)家族の形が七回も変わっています。
今の父親はちょっとずれた森宮さん。
周りの人には辛くないかと心配されるけど、優子は全然不幸とは感じていません。
優子は一部の女子とのイザコザ、合唱祭のピアノ伴奏など、学校生活を明るく乗り越えていきます。
そして森宮さんとのやりとりは終始ほのぼのとしています。
優子はどうして七回も家族が変わることになったのか。大人になり、自分自身が家族を持つことになった優子は親たちに会ってそれぞれの気持ちを聴いていきますが…
主人公がさっぱりしていて潔い
私がこの小説を読んでいいなと感じるのは、主人公の優子が自分の境遇を嘆いたり斜に構えたりしないところです。
担任の先生が心配してくれるのを申し訳なく思うほど。
「この環境ならば、こう感じているだろう」「こんなことがあったなんて可哀想」などと周りが決めることはしちゃいけないなと思わされました。
血のつながりより大事なもの
「そして、バトンは渡された」を読んだ時、親たちはそれぞれのやり方で精一杯親であろうとして、優子もその気持ちに応えているのが印象的でした。
森宮さんも一生懸命父親業をやっています。お互いを思いやり、言いにくいこともがんばって伝えられるとても良い関係だと思います。
家族として大事なのは血のつながりがあるかどうかだけではなく、本人の覚悟と思いやりなのかなと思いました。
私は以前にも「家族は家族であるための覚悟が必要だな」と感じたことがあります。
以前読んだ「7つの習慣」(スティーブン・R・コヴィー著、キングベアー出版、1996年)の「愛は動詞である」という言葉が心に残っているのです。
私が大学三年だったときに、母が脳の手術を受けました。
薬剤師として働き、豪快に物事を決め家族を引っ張っていた母。
手術後足が動きづらくなり、運転も仕事もできなくなったことがショックだったのか、人が変わったように荒れている時期がありました。
きっと私に家に戻って生活のこまごまとしたことをやってほしかったのだと思います。でも私は東京の大学を続け実家に戻ることはしませんでした。
それまで何も考えなくても頼れる存在だった母に「あんな女知らない!」と言われ、もう母は変わってしまったから、この人とはやっていけないと思いました。
そんな時に読んだのがスティーブン・R・コヴィー著の「7つの習慣」でした。
作者は「愛とは自然に感じる感情ではない。自分が犠牲を払い、具体的な行動をすることこそが愛なのだ」と言っています。
これを読んで、相手は変わらなくても自分ができる行動に注意を向けて、小さな行動を積み重ねていけば良いんだと感じたのです。
それからはできるだけこまめに電話をしたり、母が愚痴を言ってきた時には聴くように心がけています。
母の体調も落ち着いてきたこともありますが、何より私自身が前向きに母と関わろうとするようになりました。
「そして、バトンは渡された」の家族も血はつながっていないけど、いないからこそなのか、お互いを大事にして過ごしています。
家族だからと油断してコミュニケーションをおざなりにしちゃいけないな…と感じました。
- 相手が話している時は聞く
- 挨拶とありがとうを欠かさない
- 自分が怒った理由を後で言葉にして説明する
いつもできるわけではありませんが、この辺は気をつけています。
改めて「言わなくても伝わるだろう」「これくらいやってくれるだろう」と思わずに丁寧に関わっていきたいです。
一緒にご飯を食べよう
作中に出てくる、優子が家族と食べるご飯がとても美味しそうです。
メニューが美味しそうなだけでなく、込められた思いが味の記憶や思い出になるんだろうなと感じました。
- 森宮さんのエールがつまった始業式の朝のカツ丼
- クラスの女子と上手くいかない時にスタミナをつけるため毎日作ってくれた餃子
- 1人じゃなかなか食べないだろうからと、嫁入り前に二人で食べるケーキ
いいなあ。
食事は毎日のこと。いそがしい日もあるけど、一緒に同じものを食べている時間は大切にしたいです。
血がつながっているかどうかじゃなく、「家族であろうとする気持ち」が大切だなあ。
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