子どもが『生きる力』をつけるには、
学校には行かなきゃダメ…?
友達と仲良くできた方がいい…?
「そんなことない!!!」
皆がやっているから「そういうもんだ」と思いがちなことを、一刀両断してくれる本を読みました。
『麹町中校長が教える 子どもが生きる力をつけるために親ができること』
著者:工藤 勇一、 発行所:かんき出版、 2019年12月6日
著者の工藤さんは、教師や教育委員会の経験を経て、千代田区の麹町中学校で公立の学校とは思えない革新的な改革を次々にしている先生です。
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校長先生がこんなこと言うんだ!
- 家庭学習は子どもの時間を奪っているだけ!
- 友達が多いか少ないかは問題ではない!
- 親はいいかげんなくらいでいい!
- 食べ物の好き嫌いがあってもいい!
私が子どものころに出会ってきた「先生」のイメージからすると、この本に書かれていることは「校長先生がこんなこと言うんだ!」と意外に感じることが多かったです。
宿題をちゃんとやってテストでいい点を取れれば、学校生活は概ねうまくいくかもしれません。ただ、宿題をすること自体が教育の最終目標なのか?というと…。
子ども自身が考えて判断し、行動する資質や、自分をコントロールする力をつけるという目的から考えると、強制されて宿題をすることは逆に主体性を奪ってしまうのではないか?と、麹町中学では宿題や定期テストを廃止したそうです。
どこをゴールとするかで、見方がガラッと変わりますね。
親が気にしすぎ問題
また、「親や周りの大人が気にしたり、叱ったりしすぎることが、子どもの問題をつくってしまう場合もある」とこの本のいくつかの章に出てきました。
親が「この子は落ち着きがなくて失敗ばかりで…」「何かにのめり込みがちでコミュニケーションが苦手で…」などと言いすぎると、子ども自身が「自分はそうなんだ」と思い込んでしまうことがあるそうです。
落ち着きがないのはその年齢では普通だったり、のめり込むのも(比較的男の子に)よくあることであっても、親は気になっちゃいますよね。
親が気になってつい叱ってしまうのは、自分自身に対して「ダメだな」と思うことだからこそ、こだわっている可能性もあると読んでハッとしました。
子のことを思って出てしまいがちな言葉ですが、あえて何も言わずに成り行きを見守る方が子どもの力を伸ばす結果になる場合もあるようです。
子育ての本当の目的は…
この本を読んで、娘の日々の行動や学校での振るまいを案じ、
ちゃんと勉強してるのか?!
同級生と仲良くできてるのか…
といちいち心配してそうな私と夫が目に浮かびました。
そして、皆と同じことができていなかったら、いちいち「育て方がまずかった…?」と気にしてそうな気がします。
ただ、著者の工藤先生は子育ては理想通りにはいかないと書いています。
親として完璧ではない自分を、蔑んではいけません。
それよりも大事なのは、子どもに対する愛情に自信を持つことではないでしょうか。
私が日頃から考えているのは「不幸になるような理想はいらない」ということです。
『麹町中校長が教える 子どもが生きる力をつけるために親ができること』
工藤勇一著、 かんき出版、2019年12月6日
真面目な人ほどギャップに悩みます。理想や当たり前(と思っていること)と比べて「この通りにできてない」と落ち込むなら、いっそ気にしない方がいいそうです。
この本にも37のヒントが書かれていますが、その通りにやる必要はありません。
そもそも親が子どもの困った行動を気にしたり、宿題や「みんなと仲良く」など当たり前とされることをやってほしいと思うのは子どもに幸せになってほしいからですよね。
変化の早い社会で生きるこれからの子どもは、「当たり前を疑って自分で考える力」がより求められます。
子ども自身が考え、自分に必要なものを選び、最終的に幸せになるために…
親も入ってくる情報を鵜呑みにせず、子育ての目的に合わせ、考えて選ぶ必要があると気付かされました。
理想もだけど、自分が生きた30年前の情報を「当たり前だ」と思って子どもに押しつけようとしても、うまくいくわけないのかもしれません。
小中学生の子をもつ方向け!