「子どもが朝自分で起きてこない…」
「何かあったとき、子どもが自分に相談してくれない…」
自立した子を育てるためにはいったい何に気をつけて、どんなコミュニケーションをしていけばいいのでしょうか??
今回の本の著者は人材開発コンサルタントであり、1万人以上の子育てや生き方を応援してきました。
子どもの生きる力を育てて、同時に親が人生を充実させるために大事なエッセンスがまとめられた1冊です。
『子どもの心のコーチング』
著者:菅原裕子、 発行所:PHP研究所、 2010年5月11日
プラスのことを伝えるときは私メッセージ
この本では子どもに何か伝えるとき「私( I )メッセージ」を使うということが何度も出てきます。
例えば、お手伝い。子どもが何かしてくれたときに「〇〇ちゃんが手伝ってくれて助かった」「本当に嬉しかったよ」などと私メッセージを伝えることで、子どもは人の役に立つことの喜びを学んでいくそうです。
ほめるときも私メッセージです。親が「こうしてほしい」と思う行動を子どもがしたときは、目を見てしっかりプラスのメッセージ、特に私メッセージを伝えます。
私メッセージは言い慣れていないと、意外とパッと出てきません。子どものことをよく見ている必要もあるし、親もぼーっとしていられませんね。
叱るときにも私メッセージ
また、子どもに「早くしなさい」「片付けなさい」「あれしなさい」「これはやっちゃダメ」と叱ってもあまり効果はありません(!)。
著者は「叱っていいのは命に関わるときだけで、それ以外は叱っているのではなく親が自分の都合で怒っているだけだ」と言います。
親はしつけと思っていても、その根本となる社会的マナーにはハッキリとした基準を持っていない場合も多いです。自分の理想の子のイメージから外れると怒っているだけ…。
言えば言うほど子どもは聞く耳を持たなくなるので、冷静になるまで一度黙ってみるのも有効だそうです。
でも、実際に解決するべき問題がある場合もあります。
それではどうしたらいいかというと、こんな時にも私メッセージなんです。
「静かにしていてくれないとお父さん仕事ができなくて困る。12時までは静かに遊ぶか外で遊んでくれるかな。」
「遅くまで帰ってこなくて、お母さんはとても心配で不安だった。今度から○時までには帰ってきてほしい」
など、
自分の正直な気持ちと、具体的にどうしてほしいかを優しく伝えると子どもが聞いてくれやすいそうです。
上手くできなくても自分を責めない
これは分かっていても難しいです。
反射的にイライラしてしまう「自動的な怒り」を落ち着ける方法も書いてありますが、これから娘がしゃべるようになったりイヤイヤ期に突入していったときに、実際にできる自信はありません。
「こうするべきだった」、「こんな風に怒るべきではなかった」と思う日もありますよね。
ただ自分を責めていても、問題の解決にはなっていないそうです。
「~べきではなかった」「~べきだった」と、やったことやらなかったことを悔いて、罪悪感にひたり、自分を責めている間、あなたは行動を起こさずにすみます。もっと賢い親になるための努力をしなくてすむのです。何より、自分のやってしまったことや間違いを、本当には認めなくてすむのです。
『子どもの心のコーチング』p224
間違った時は自分で後悔しているだけではなくて、子どもに本音を話した方がいい。
この本の著者 菅原裕子さんが言っていることはとても正しくて、私にはけっこう辛口に感じます^^;
スポンサーリンク先生に「叱られた」記憶
この本を読んだ後、私が小学生の時に先生に言われたことを思い出しました。
自分が小学校2・3年の時の担任は、熱心な若い男の先生でした。いつも笑顔で、学校を出て実際に見にいったり、一緒に調べたりということをよくやってくれました。
たくさん遊んだり写真も撮ってくれたり、私達子どもを大事にしてくれているのが伝わっていて、子どもからも慕われている先生でした。
ある日クラスマッチでドッジボールをやっていたとき、私達クラスの女子は早々に負けてしまいました。他のチームの試合は続き、私達はコートの外で見ていました。
男子は勝ち残っていたのに私達はだんだん飽きて遊び始め、同じクラスの子が試合している時に、校庭のはじで当時テレビで流行っていたゲームをして遊んでいたのです。
教室に帰って先生から「仲間が本気でやっているときに応援もしないで自分たちだけ遊んでいるなんて、悲しいし情けない」というようなことを言われたと思います。
静かな声でしたが、先生は泣いて怒っていました。
学校の近くの山と池の記憶しかない小学校時代、しかも低学年のことでこれだけ鮮明に覚えているのはよほど強烈にショックだったのでしょう。
遊んでいたときはもちろんそれが悪いとは全く考えていませんでしたが、先生の言葉で反省しました。クラスの女子皆そうだったと思います。
今思うとあれは強烈に「私メッセージ」でした。
行儀や社会的規範というより、「どんな人間でいてほしいか」を先生は本気で伝えてくれたから記憶に残っているのだと思います。
伝わり方はさまざまだから
ただ、同じクラスでも全く覚えていない子もいるだろうし、他に私はすっかり忘れていて他の子には響いたこともあるでしょう。
このケースは学校の先生だけど、親は子育ては初めて。何人目の子でもその子の子育ては初めてだから、感情的になってしまうこともあります。
こちらが真剣に伝えたとしても子どもによって伝わり方はさまざまです。
だからこそ「自分を責めていないで子ども本人に正直に話す」ことが大事なのかもしれません。これならキツいことではなくて、むしろ間違っても、毎回うまくできなくても大丈夫ということです。
その度に、また話せばいいんです。
この本は一度冷静になったり、子どもと話し合うときの指針になりそうです。
2歳~の子をもつ方向け!
『子どもの心のコーチング』には実践編、しつけ編、10代向け、思春期向けなどシリーズもあります!